奨学生 感想文

外国人奨学生の顔写真

陳 露文(チン ロブン)
中国出身/2024~2025年度奨学生
日本女子大学 人間社会研究科 博士後期課程

歌舞伎鑑賞の感想

 人生で2回目の歌舞伎鑑賞。 日本語もあいさつしかできなかった7年前の鑑賞では、歌舞伎の意味がさっぱりわからず、ほとんど寝てしまいました。しかし今回は興味津々で観ていました。感想としては2点挙げられます。

 まず、内容面としてです。今回は初めて話の筋がわかり、見どころを楽しむことができました。じっくりと何かを見るのは久しぶりで、特に鼓の皮が狐の親だと分かり、悲しみながら泣いているシーンに感動しました。また、狐が鼓を手にして子どものように「親」と無邪気に遊ぶシーンを見たとき、自分の親を思い出しました。自分が小さい頃もこんなふうに親と一緒に遊んだのだろうなと思いつつ、自分の親が鼓に作られた狐だったらどんな気持ちだったのだろうかと考え、悲しくなりました。

 後半は楽しめたのですが、前半はやはり意味が分かりづらかったです。そしてそこで考えたのが、こうした素晴らしい日本文化をどうやって外国人に伝えるかということです。日本人にとっても理解しにくい部分がある歌舞伎は、日本語や日本文化に詳しくない外国人にとってはさらに難しいものです。これは非常にもったいないので、AI技術を活用して何かできないかと思います。

 例えば、事前学習コンテンツを提供することで、外国人観客がこれから何を観るのかを予習できるようにする。また、リアルタイムの字幕サービスも有効でしょう。観客がApple Vision(拡張現実)などのデバイスを装着することで、舞台を見ながらリアルタイムで字幕や解説を視界に表示できるようになります。これにより、言語の壁を超えて歌舞伎の台詞やストーリーを理解することが可能になります。

 科学技術が発展している今、このようなことが実現できるのも期待できるでしょう。もし一般人でもApple Visionが利用できるようになったら、私は親や祖母を連れて、ぜひこうした素晴らしい歌舞伎を見せてあげたいと思います。