奨学生 感想文

外国人奨学生の顔写真

胡 佳融(フジャロン)
中国出身/2023~2024年度奨学生
上智大学 地球環境学研究科 博士後期課程

歌舞伎教室鑑賞の感想

 今回、坂口財団の皆様と一緒に歌舞伎の演目を鑑賞することは、日本の文化に対する理解を深める貴重な機会でした。実は、歌舞伎を見るのは初めてでしたが、最初の解説のおかげで歌舞伎と今回の演目の内容を理解することができました。演目の「日本の振袖始八岐大蛇と素戔嗚尊」は、日本の伝統文化を称える作品であり、その美しさと力強さに触れることができました。歌舞伎の豪華な衣装や化粧、迫力のある演技など、多様な要素が組み合わさっており、それらが一体となり、物語やキャラクターの情感を感じました。特に、音楽や舞踊の要素も重要であり、その響きや動きが物語を一層盛り上げ、歌舞伎の舞台芸術の魅力が存分に発揮され、私たちは時代を超えた感動を味わうことができました。

 しかし、劇場で歌舞伎を見る若い人は少なかったことがその日に気になり、「伝統文化・芸能の保存・継承」について考えさせられました。日本の歌舞伎をはじめ、中国の京劇やニュージーランドのマオリ・ハカなど、世界には数多くの伝統文化・芸能がありますが、現在、その保存と持続可能性を妨げる可能性のあるいくつかの課題があると思います。例えば、今回の演目を鑑賞した時、歌舞伎俳優から音楽演奏者まで深刻な高齢化を見られています。伝統芸能の多くは、その芸を極めることに生涯を捧げてきた熟練した人たちに大きく依存していると考えられます。しかし、このような人たちが高齢化するにつれ、次世代への知識の継承が懸念されています。そして、社会の価値観や嗜好の変化とともに、若い世代は現代的なエンターテインメントやメディアに傾倒し、その結果、伝統文化の需要と伝統芸能への関心が低下する可能性が考えられます。

 日本の歌舞伎や世界中の伝統文化・芸能を保存・継承するためには、以下のアプローチを考えています。教育的イニシアチブを実施し、経験豊富な実践者から若い世代への技術や知識の伝達を確実し、学校や文化機関、コミュニティ団体を通じて、伝統文化・芸能についての教育と啓発活動を行い、学校カリキュラムに文化教育プログラムを組み込み、伝統文化・芸能に関する学習資源を提供することができるでしょう。例えば、私の故郷である上海市は、地方の方言(上海語)を保存・継承するために、小学校で上海語の講座を実施したり、バス内での中国語、英語と上海語の多言語アナウンスを推進したりしています。これにより、若者が方言といった伝統文化に触れる機会が増えました。その以外、世界中で進んでいるデジタル化とともに、伝統芸能の公演や舞台をデジタル化して記録することが必要であるでしょう。映像や音声、写真などの形式で保存し、将来の世代に伝えることもできると思います。最後、各国の伝統芸能を文化観光の一環として推進すれば良いと思います。国内外からの観光客を歓迎し、公演やツアー、芸能体験などを提供することで、伝統文化・芸能の認知度と支持を高めることもできるでしょう。Afterコロナ時代において、日本の観光産業は回復しつつ、日本の文化や伝統芸能を世界に紹介する良い機会でもあると思います。