
エルガシェウ・シャフゾド
タジキスタン出身/2022年度奨学生
東京外国語大学 総合国際学研究科 修士課程修了
今年の7月、私は約2年ぶりに母国タジキスタンへ一時帰国した。前回の帰国は3年前であり、その際に結婚式を挙げた。その後、約2ヶ月間母国に滞在し、妻のビザを申請した上で再び日本に戻り、2ヶ月後には妻を日本に迎えることができた。短い期間ではあったが、日本で二人で生活を共にする時間は新鮮で、互いの絆を深める貴重な経験であった。
しかし、妻はその後妊娠し、出産のために再度タジキスタンへ帰国することとなった。それ以降の2年間、私は日本で単身生活を送ることとなり、その間に私たちの待望の子供が誕生した。私は父親として新たな責任を感じ、息子に「イルヨス(ILYOS):”神の支援者”の意」と名付けた。今回の一時帰国の主な目的の一つは、この息子と初めて直接対面することであった。
子供が生まれてからは、直接会う機会を持てず、ビデオ通話を通じて成長を見守ることしかできなかった。早く会いたいという気持ちが日に日に募ったが、仕事や学業の都合により、すぐに帰国することは困難であった。そのため、家族と会うことを心待ちにする中で、子供への愛情と期待は一層深まっていった。
そして、待ち望んだ帰国の日がやってきた。タジキスタンに到着し、息子と初めて直接対面したときの感動は言葉では表現できないほどであった。息子はすでに1歳1ヶ月を迎えており、自分の足で歩くことができるようになっていた。画面越しに見ていた姿とは異なり、目の前で彼の成長を実感したとき、彼が経験した数々の瞬間を共有できなかったことへの寂しさと、今この瞬間を共有できる喜びが入り混じった感情を覚えた。
息子との再会
滞在中、タジキスタンの夏の厳しい暑さの中、ほとんどの時間を家族と共に家の中で過ごした。特に息子と遊ぶ時間は、私にとって最も充実したひとときであり、長い間離れていた家族との再会は心を満たしてくれるものであった。また、ロシアに滞在していた旧友とも久しぶりに再会し、長年のブランクを感じさせないほどお互いの近況を語り合い、かつての友情を再確認することができた。
さらに、タジキスタンでは親戚や友人たちの結婚式に幾度も招かれ、伝統的なタジキスタンの婚礼文化を体感する機会に恵まれた。華やかな音楽とダンスに彩られた結婚式は、久しぶりに故郷の文化に触れる貴重な時間であり、異国で暮らしている間に忘れかけていた故郷への愛着を改めて感じさせてくれた。
今回の帰国は、私にとって非常に有意義であり、特に父親として初めて息子と触れ合えたことは、私の人生においてかけがえのない経験となった。この滞在を通じて、家族と共に過ごす時間がいかに大切かを再認識し、家族との絆をさらに深めることの重要性を改めて実感した。
今後の計画としては、来年には家族を再び日本へ呼び寄せ、息子を日本の幼稚園に入園させる予定である。私はしばらく日本での生活を続けるため、家族と共に過ごす新しい生活を築いていくつもりだ。この再会は単なる一時帰国ではなく、私にとって新たな家族の未来を考える契機ともなった。家族と共に過ごす時間を大切にし、どの国に住んでいても、彼らと共により良い未来を築いていきたいと強く感じた帰国であった。