奨学生 レポート

外国人奨学生の顔写真

髙橋 誠司郎
2022~2024年度奨学生
オックスフォード大学 博士課程 社会科学部

 2024年6月末に沖縄から帰英して8ヶ月程経ち、10月に新学年が始まってから5ヶ月程が過ぎました。
 2024年9月にレポートを提出させていただきましたが、それ以降の取り組みについて振り返り報告させていただきます。

 10月に新学年が始まり、St Antony’s CollegeはWelcome Weekのイベントや新入生の到着で賑わいました。
 以来、カレッジ、日産日本問題研究所や人類学部の新入生と以前の友人に囲まれながら愉しく研究生活を送っております。
 今学年は沖縄でジュゴンと米軍基地についてフィールド研究をされた人類学者の方もいらして、多種族民族誌研究に関してご教示いただいております。
 博士課程のクラスメイトも徐々に日本、ロシア、ブラジルなどのフィールド調査先から戻り、学生同士励まし合いながら論文作成に取り掛かっております。
 楽しい時も何かと難しい時もお互いに助け合える仲間がそばにいて本当にありがたいです。

 クリスマスと正月はオックスフォードの友人宅に招いていただき、フィールド調査から帰ってきた人類学博士課程のクラスメイトと共に過ごしました。
 持ち寄りの料理を囲んでフィールド調査の経験談を交わしながら再会した友人達と祝うことができて嬉しかったです。

 年明けにはパリを一週間程訪れました。
 初日の晩はMontmartreのBasilique du Sacré-Cœurで夜通しの礼拝に巡礼者として参礼しました。
 旅行中にオックスフォード大学やカリフォルニア、沖縄で出逢った友人と会い、旅の締めくくりにAmerican Cathedral of Parisの聖歌隊に加わりevensongで歌わせていただきました。
 Montmartreのカフェでは学部時代に北インドのDharamsalaでチベット学の留学生としてお世話になった恩師のご友人であるチベット人のバリスタ方と偶然出逢い、ご縁を感じました。

 今学年もSt Antony’s Collegeの漕艇部に入部しました。
 今週は恒例のTorpidsボート・レースを四日間に渡りアイシス川で行う予定です。
 熱心な新メンバーやコーチが何人も集まって練習に励み、ボート・クラブは活気に満ちています。
 昨年度と先学期は雨量が多く川が氾濫し水上練習やレースが中止されることがあったので、今週は無事に競技を行えれば幸いです。

 春休み中にはロンドンのHead of the River Raceにも挑戦します。
 ヘッド・レースの形式はオックスフォードのアイシス川にて比較的短距離で行われるバンプス・レーシングとは異なり、漕ぐ距離がより長いものなので、そちらの競技にも向けてトレーニング・メニューが調整される予定です。

 フィールドワークに出掛ける前はWorcester Collegeの聖歌隊に参加しておりましたが、今年は他のカレッジでもevensongに参礼しながらWorcester Collegeの聖歌隊とdeputy singer(補欠員)として交流を続けております。
 今学期からはCherwell Singersという地域の合唱団にも加わり、学期末にMansfield Collegeでコンサートが行われます。
 Mansfield Collegeのチャペルは不整合主義(Nonconformist)の歴史があり、コンサートのレパートリーもIsaac WattsとCharles Wesley作詞の不整合主義の伝統から生まれた聖歌の特集です。
 地域の合唱団に入り、カレッジのチャペル・クワイアとは異なる楽曲、環境、メンバーと交わる機会ができました。

 先学期、オックスフォードの教会で礼拝に参加した後、司祭である友人にふと司祭職を勧められました。
 一見思いがけない提案でしたが、想起してみれば沖縄でも友人に同じような事を仰っていただきました。
 以前、「自ら司祭になりたいと思う者はおそらく司祭職に向いていない」という内容の説教を聞きましたが、この出来事を通してやっとその意味が理解できそうになったかと思います。
 ご提案をいただいて以来、オックスフォード、沖縄、カリフォルニアなどのお世話になっている司祭の先生方と相談し、司祭職の識別の段取りについてご教示いただきました。
 英国国教会の司祭職の識別の段取りは開始から神学校進学まで少なくとも18ヶ月間かかるそうです。

 実際に識別の段取りを経て神学校に進めるかは現在明らかでございませんが、興味深い学びの機会として取り組ませていただいており、来月はオックスフォードにある神学校を訪れる予定です。
 沖縄でのフィールド調査期間にも予想外の展開に対して柔軟で臨機応変な姿勢をとることのメリットに気付かされましたが、フィールド調査を経てオックスフォードに帰ってきてからも予期せぬ展開と経験を味わっております。
 いずれにせよ、人類学博士課程の論文提出にも向けて邁進させていただいております。

 博士課程の三年目もあっという間に中間点を突破しました。
 寒い冬を越し、最近は日光を浴びる機会が増え、春の到来を感じます。
 坂口国際育英奨学財団のご支援を通して充実した研究生活に励むことができ、誠にありがたく存じます。
 出逢いと惠に感謝し、これからも精進してまいります。
 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

Isis Winter League Cのボート・レースに出場した新メンバーと継続メンバーを含むSt Antony’s College Boat Clubの漕艇乗組員。

Isis Winter League Cのボート・レースに出場した新メンバーと継続メンバーを含むSt Antony’s College Boat Clubの漕艇乗組員。
当日は出港しましたが、スタート・ラインに向かう途中、荒天によりレースは中止となりました。br> 悪天候の中でもわざわざ応援しにきてくれた友人がいてありがたかったです。
https://www.instagram.com/p/DFSyzqTiCep/?utm_source=ig_web_copy_link&igshid=MzRlODBiNWFlZA==

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今学期末に行われるCherwell Singers合唱団のコンサートのポスター。

今学期末に行われるCherwell Singers合唱団のコンサートのポスター。
漕艇部の室内練習室やSt Antony’s Collegeのbutteryにもコンサートの広告を貼らせていただきました。
https://cherwellsingers.org/concert/2025-03-wings-of-faith/