奨学生 レポート

日本人奨学生の顔写真

松宮 陽輔
2023~2025年度奨学生
オックスフォード大学 博士課程 医学部

育児休業

 8月末に我が家にもう一人子供が増え、5人家族になりました。私が以前臨床をしていて、現在研究を行っている病院の部署で産まれ、とても丁寧なケアで、無事安産でした。しかし前回の半期レポートで執筆しました「英国医療制度の危機」に続き、長男と長女も同じ場所で産まれながら、今回はスタッフ不足、そして設備の劣化(例えばトイレの半分以上が使用不能)を実感しました。

 英国では2014年末に育児休業法が大きく変わりました。以前、男性は2週間の育児休業しか取得できませんたが、法律改正後、男女共同育児休暇を所得できるようになりました(shared parental leave)。最長1年の法廷育児休業を父母が共有し、交互あるいは同時で取得できる制度です。

 2015年に長男が産まれ、当時働いていた病院では男性として初めて男女共同育児休暇を申請しました。人事課も制度の詳細を知らず、戸惑いながら、取得しました。2016年に長女が産まれた際も別の病院で申請しました。周りからは、「あまり育休を取るとキャリアを積めないぞ」と言うバッシングもありましたが、気にせず同じく3ヶ月育休を取得しました。仕事に復帰した際も100%では無く、60−80%で働き、特に妻も働いている時は、平日1日は子供と過ごすように調整しました。

 2017年の夏に長女がまだ生後8ヶ月の時に日本に帰国して、妻が先に仕事をし始めたので、私は新年度まで半年ほど主夫として過ごしました。振り返ると、色々気づいた事があります:

· 子供の早い成長

· 毎日の家事(洗濯、買い物、料理、オムツ替え、お掃除)

· 認可保育園の手続きの大変さ(何度子供を連れて区役所に行った事か)

· 公園や子供が遊べる場所の有り難さ



 ベビースイミングに連れて行った時、30人ほどの保護者の中で、男性一人でした。女性の着替え室は混雑していたところ、私は男性の着替え室が使い放題でした!プールで歌っていた曲の中には、「ママと赤ちゃん」の詞があり、気がついたインストラクターも「パパも入れないとね」と笑っていました。

 さて、去年次男が産まれ、大学に育児休業の申請を行いました。一般的には公表されていなく、私も知りませんでしたが、本学で奨学金を取得している学生は、男女関係なく二学期分Parental Leave Grantと言う手当を取得する事ができ、奨学金と同じ金額が振り込まれる上、奨学金がその分延期されます。私はMichaelmas termと Trinity termを育休として取得しました。

 今回もある教授からは「男性が育休を取るなんて時間の無駄だ」と言われました。男女関係なく、育休を取るか、どの程度育児に関わるか、さらに子供が欲しいかどうかは人それぞれだと思います。しかし、自分の考えや生き方とは違っていても、社会として他の意見を持っている人、そしてリーダーとしてはそういう方をどうサポートして受け入れられるかという気持ちは重要だと感じます。

 坂口財団育英奨学財団には育児休業に関してご理解いただき、深く感謝しております。復帰後も育児と研究のバランスを大切にしながら、頑張りたいと思います。