奨学生 レポート

日本人奨学生の顔写真

髙橋 誠司郎
2022~2024年度奨学生
オックスフォード大学 博士課程 社会科学部

最終レポート

 2023年7月に英国から日本国へ移り、8月の中旬に沖縄県へ引越してから半年以上経ちます。
昨年の9月末にレポートを提出させていただきましたが、それ以来の取り組みについて報告し振り返らせていただきます。

 9月末には友人にお招きいただき、嘉手納米軍基地内で催されたOktoberfestに参加させていただきました。嘉手納基地内を訪れるのは2019年以来で、当日はパスポートを持ちゲートを通り、大勢集まった屋外会場に着きました。会場には大きなテントが張ってあり、独国バイエルン州の料理などを振舞うブースやバンドが立つステージがありました。日本人メンバーで結成されたバンドはドイツ語で民謡を歌ったり、数メートル長いアルペンホルンを吹いて会場を盛り上げました。  

 10月の上旬には嘉手納基地内の動物病院を訪れ、基地内での保護犬猫事情、米軍用犬やペットの診療などにつきお話を伺いました。 

 同月の数日後には大阪府と高知県を訪れました。大阪国際空港から大阪大学吹田キャンパスへ向かい、人類学研究室で教授や研究者の方から多種民族誌やscience and technology studiesについてお話を伺い、論文研究のアドバイスをいただきました。近くの大阪日本民藝館で客員研究員として在籍されている英国オックスフォード大学人類学博士課程のクラスメイトもミーティングに参加されました。 

 翌日は米国インディアナ州アーラム大学での学部時代の元クラスメイトと久々に再会し、前日お会いしたクラスメイトも含め、三人で能勢町へ向かいました。電車、バス、徒歩で紅葉が彩る山間を進み、保護犬猫団体の施設を二つ訪れ、保護活動や安楽死の役割などについてお話を伺いました。 

 次の日は母方の祖父母家族の出身地である高知県を初めて訪れました。田野町で公務員として務められているオックスフォード大学日産日本問題研究所の元クラスメイトとお会いし、徳島県や東京都からも日産日本問題研究所の卒業生がいらしました。翌日は高知市にある動物愛護センターを訪れ、元猟犬を含む山犬の群れや野良猫についてお話を伺いました。 

 翌日に高知から大阪経由で沖縄へ戻り、数日の後、地元カリフォルニア州へ向かいました。  ロサンゼルス市へは台湾経由で向かったので、途中、台北市でオックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジのクラスメイトと、オックスフォード大学の先輩であり現在国立台湾大学の教員として務められている方を含む三人の友人とお会いしました。  空港外の台北市を訪れるのは初めてで、友人と一緒に見物をし、動物愛護センター訪問を含むフィールド調査も行うことができました。  台湾では2017年以来、例外を除き、野良犬猫の殺処分は違法になったとのことでした。 

 南カリフォルニアでは家族や友人と会い、母の担う授業にゲスト講師として参加し、高校時代からの友人達の結婚式に参加し、教会の礼拝にも参加しました。幾つかの保護団体や動物管理局も訪れ、‘no kill’ shelterの定義などについてお話を伺い、論文研究のフィールド調査を行いました。

 10日間ほどの海外旅行、実家訪問の後、沖縄へ戻り、着いた翌日の10月25日には首里城公園で行われた沖縄県「空手の日」を記念するイベントに参加させていただきました。同月29日には、普段は別々に練習をしている米軍基地内外の道場のメンバーが集まり、那覇市国際通りで他の道場の方を含む合計2,000人近くの空手家と共に演武をさせていただきました。

2023年「空手の日」に関する記事を共有させていただきます:
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1247447
https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-2424979.html

 11月の中旬には那覇市でマオリ族の伝統武術のセミナーに参加させていただき、民話についてもご教示いただきました。 

 同月、福岡県太宰府天満宮でフィールド調査を行なわれているオックスフォード大学人類学博士課程のクラスメイトに沖縄へ訪ねにいらしていただきました。フェリーに乗り阿嘉島を訪れ、自然、民謡、島の神社や行事、第二次世界大戦沖縄戦の始めとなった米軍上陸の歴史などについてご教示いただきました。1988年に『マリリンに逢いたい』という映画が公開されたそうですが、阿嘉島にはシロという犬の像が建ててあり、対岸の座間味島にはマリリンという犬の像が建ててあるそうです。 

 11月の下旬には誕生日を迎え、その日は米国カリフォルニア州スタンフォード大学の教員として務められている友人にお招きいただき、和歌山県の高校生を対象とするオンライン授業にゲスト講師として参加させていただきました。

 沖縄で論文研究の参与観察も普段から行うようになりました。  動物愛護センター、ドッグシェルター、保護団体などのお手伝いをさせていただき、その伝手で動物病院の通訳兼看護師助手のお仕事を紹介していただきました。愛護センター、保護団体の施設やイベント、動物病院では日本人や外国人、米軍基地内外の動物や人などの交流を目の当たりにすることが出来ます。フィールドワーク生活を送るにあたって、地域内外に存在する様々な繋がりの網に気付かされます。人間–動物関係に集点を置きながら、社会を総合的、相対的に解析する機会がありそうです。 

 1月の上旬には人生初の書初めに参加させていただき、大きな筆で「琉逢」という字を書かせていただきました。書初めには沖縄、日本の内地/本土、米国の出身者を含む方々が参加されました。 

 組織の目的や、生と死の解釈や、動物愛護の手段などの多様性を観察する中で、人間ー動物関係と「沖縄的」「日本的」「米国的」などの概念が如何に互いを影響し合っているのかを検討するのが一つのテーマとして現れつつある模様でございます。これらの概念が人間や人間以外にどう当てはまるかや、「動物」「人間」「人」「ペット」「家族」「家畜」「生き物」「器物」「商品」「命」「苦しみ」「幸せ」「よい生」「よい死」「救助」「治療」「世話」「躾」「慈悲」などの定義と解釈の流動性、構築性、多様性、普遍性について現在、考えております。 

 フィールド調査に出かけてからの半年以上の間、坂口国際育英奨学財団のご支援を通して充実した研究生活に励むことができ、誠にありがたく存じます。今回のフィールド調査期間も残り5ヶ月を切りましたが、出逢いと惠に感謝し、精進してまいります。これからも何卒よろしくお願い申し上げます。 

2024年2月4日、師事させていただいている先生にお招きいただき、沖縄県空手道連合会の新年会に参加させていただきました。

2024年2月4日、師事させていただいている先生にお招きいただき、沖縄県空手道連合会の新年会に参加させていただきました。
引用元:https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1303336

2024年1月13日、北谷諸魂教会で書初めに参加させていただきました。

2024年1月13日、北谷諸魂教会で書初めに参加させていただきました。
  ご指導いただいた先生、書道教室の方々、イベントに関する情報:①https://www.facebook.com/events/1236743487728463/?ref=newsfeed
https://mailchi.mp/d2c3d1b1c37e/learn-the-art-of-japanese-calligraphy-at-our-kakizome-event-tomorrow

2024年1月6日、北谷諸魂教会で行われた日本聖公会沖縄教区宣教70周年記念演奏会に参加させていただきました。

2024年1月6日、北谷諸魂教会で行われた日本聖公会沖縄教区宣教70周年記念演奏会に参加させていただきました。
引用元:
https://www.youtube.com/watch?v=0FFwmtljPaA
https://www.facebook.com/allsoulsokinawa/