奨学生 レポート

外国人奨学生の顔写真

閆 家欣(エンカキン)
中国出身/2023年度奨学生
日本女子大学 人間社会学部 教育学科

①日本に来て勉強になったこと

 大学に入ってからずっと教育現場で活躍しています。特に大学一年次の時と大学二年次の時の学校インターンシップに参加し、前後の変容において顕著的に成長してきたと感じられます。

 まず私の学校インターンシップの参加流れから話しましょう。学校インターンシップを実際に参加する前に大学での事前指導に出席し、学校インターンシップに参加する時の留意事項、心構え(目的明確など)、事例分析、先輩たちの観察記録ノート内容のシェアなどを担当する先生に公開的に話されました。この講義で、学校インターンシップに参加する最も重要な三つのポイントを明確しました。それは、「観察」・「参加」・「参画」です。特に「参加」と「参画」の違いも明らかにしました。「参加」は、単なる集まりに加わることで、「参画」は、指導方針を中心にして計画や学級経営に加わることであると分かりました。そして各学生のインターンシップ先も事前指導の講義で分配されました。同じインターンシップ先の学生たちがグループを組んで、事前訪問(電話での時間確認などのやることと、実際に学校訪問して校長先生と会いにする時の注意事項の話など)のやること分担を話し合いました。そして学校インターンシップに参加して、事後指導で振り返ります。

手前一番右▲

手前一番右▲

 この事前指導の講義を聞いて、不安が次々と現れてしまいました。「自分がこの学校インターンシップに参加する目的は何だろう?」、「この学校インターンシップに参加して何を知りたい?」という二つの思いに原因なく落ちってしまいました。時間を少し掛けて、ようやく整理でした。

 現在、中国の義務教育の形はよく「詰め込み教育」と言われます。この教育の形成体系は清末の「西学東漸」に遡られます。当時、イエズス会が宣教のためにヨーロッパの教育思想を中国へ伝えてから、先進の中国人たちが義務教育の主張を提出し始めました。このヨーロッパからの教育の波が19世紀の日本にも大きな影響を及びました。中国は明確的に義務教育に関する法律を公布するのが1986年でした。しかし、日本がより早く義務教育に関する制度を定めました。現在、日本の教育は「ゆとり教育」から「脱ゆとり教育」へ転換しています。ここでの「脱ゆとり教育」の主旨は「激動の時代を生き抜く力を育成すること」であると考えられます。では、今現在日本で起っていることが将来の中国で起こるかもしれませんと考えました。「では、日本教育における“生き抜く力”っていったい何だろう?」というのを知りたくになりました。日本の「脱ゆとり教育」はどんな教育なのかという疑問を目的にしました。

さつま芋掘りの様子

 この二つの疑問を抱いて、大学一年次に、神奈川県川崎市長尾小学校でインターンシップしました。国語、算数、外国語、体育、音楽、社会の授業に参加し、授業中の補助をやりました。初めての教育現場活動なので色々学びました。特に印象に残ったのはある日の低学年クラスの社会授業でした。なぜかというと、中国で経験したことがない日本的自然観に基づく自然教育を体験して児童理解が深まれたからです。児童たちがA4紙サイズのワークシートを貰った後に担任先生の指導に従いにして、自分の想像によって土に埋めされているさつま芋の様子を色鉛筆で書きました。そして、児童たちが先生の指導上で2、3人のグループを組んで、さつま芋掘り策の相談に乗りました。その後に校舎内の小さい畑でさつま芋掘りを始めました。私もさつま芋掘りのチームに入りました。驚かされたのが身分に関わらず、校長先生、学校教職員以外の人員も何人か一緒にさつま芋掘りのチームに入ったことです。私は中国で通った小学校は大人数で都市にある小学校なので、校長先生は私たちにとっては、年2度に、入学式(開学式)と卒業式(期末総結会)でしか会えない存在です。このように担任先生みたい普通に授業に入るのが見たことがありません。児童たちが校長先生や、校内人員たちと協力し合って、非常に重いさつま芋を掘り出しました。児童たちに実践の中で自然観を理解させて、学校生活の充実・向上、より良いキャリア形成を図るため、諸問題の解決に向けて、異なる年齢の人たちや児童同士たちが計画を立て、役割分担をして、協力し合い自主的に取り組むことを通して、資質・能力の育成という児童活動目標に辿りました。

さつまいも

 この学校インターンシップに参加して、ようやく少し日本のこの「脱ゆとり教育」への転換政策の下に存在している「激動の時代を“生き抜く力”を育成すること」の重視の中身を理解できました。現在、日本教育に求めるのは自ら課題を見つけ出し、周囲と協力して解決する能力です。単なる学校生活を豊かにすることか、学んだ知識を理解できているかではなくて、学んだ知識や技能を基に「自分で考え、表現・判断し、実際の社会で役立てる」のが目的にしています。

 そこから3年間ぐらい経ちました。近年、中国の教育現状は「エリート教育」と「技能教育」の両極分化になっています。どの教育形式でも「生き抜く力」を段々重視する勢いが感じられます。しかしどの教育形式でも欠けている部分は存在していると思うから、中国でも日本でもお互いに参照しながら世界の教育形態などに注目して照らし合わせしなければならないと思います。

②奨学金によって果たせたこと

 坂口国際育英奨学金を受けてから、私は大学4年生の始まりからずっとアイデンティティー形成についての論文や図書を読んでいます。奨学金を受けて、卒論に集中できる時間が増えてきました。そして、経済的な不安も少しずつ減ってアルバイト以外にボランティア活動に参加する時間も設けられるようになりました。

 今年の始まりに、大学の卒業論文を書き終わりました。指導教員や後輩など沢山の人たちの協力をもらいました。大学生のアイデンティティー形成について調査を行いました。大学生が過去の部活参加を通してどのように成長してきたのか、成長して獲得した能力がアイデンティティー形成にどのように構成されているかということを目的にしました。調査結果として、アイデンティティ形成の定義を「自分らしさ」と「成長する」という二つの要素に絞りました。他者にマイナス影響を及ばされず、自分の性格や自分がどうしたいかという自己像を軸として行動していくのが「自分らしさ」であると示されています。また、自己像の中に自分という個体のことだけに限らず、個人が所属している集団、つまり環境の影響要因も含まれています。そして、部活参加を通して得た能力をカテゴライズで分類して、大学生が以前の中高時代の部活動の経験から「自主」、「自立」、「人間関係作り」という三つの大枠な能力が身につけることが分かりました。詳しく分けると、以下のように分類することができます。まず、(1)発言力、(2)組織力、(3)リーダーシップ、(4)情報伝達、(5)意欲向上、(6)努力、(7)達成感、(8)自発行動という「自主」能力に属している八つの能力が身につけます。そして、(1)時間管理能力、(2)自律、(3)やり抜く力、(4)体づくりという「自立」能力に属している四つの能力が身につけます。最後に、(1)協同作業、(2)コミュニケーション能力、(3)感情のコントロール、(4)人間性、(5)感動、(6)空気を読む、(7)マナー、(8)声かけ、(9)心遣い、(10)意思疎通、(11)共感力、(12)調和力、(13)相手を褒める能力、(14)地域への関心という「人間関係作り」能力に属している四つの能力が身につけることが示唆されています。

 このように学業に力入れながら、コンサートなどの文化的活動に参加できるようになったのが坂口国際育英奨学金の皆様のサポートのおかけです。両親も経済的な負担がこの1年間で減ったと感じています。