奨学生 レポート

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岸上 知志
2021~2024年度奨学生
オックスフォード大学 博士課程 化学学部

2023年夏の国際学会での研究発表とその感想

 坂口国際育英奨学財団の奨学生としてオックスフォード大学化学科に留学をさせていただいております岸上知志と申します。今回は、私が2023年度の夏に参加した二つの学会での研究発表の模様をレポートさせていただきます。最初の学会はEuromarという核磁気共鳴法(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)や電子スピン共鳴法(EPR:Electron Paramagnetic Resonance)などの分析手法を主に用いた研究者が集まる学会で、スコットランドのグラスゴーで開催されました。二番目の学会はEuroanalysisという分析化学に関する幅広い分野の研究者が集まる学会で、スイスのジュネーブで開催されました。Euroanalysisでは招待講演の機会もいただくことができ、大変貴重な経験をさせていただいたと思っております。ご参考までに、講演中の私の写真を添付させていただきます。

講演中の写真


 さて、新型コロナのパンデミックもあって数年ぶりに対面で出席をすることができたこれら二つの学会でしたが、とても学ぶことの多い有意義な時間を過ごすことができたように思います。具体的に、まずグラスゴーでのEuromarでは、自分の専門分野であるNMRを用いた研究を実施していらっしゃる教授の方とディスカッションを行う機会を得ることができ、これから研究を最終的にまとめ上げるために非常に役立つ数多くのアドバイスをいただくことができました。加えて、ジュネーブでのEuroanalysisでは、多種多様な分析手法の最新の動向を知る機会があり、より広い視野から自分の研究の立ち位置や今後のキャリアについて考え直す良いきっかけとなりました。研究の現場で自分と似たような苦労をしている学生の方々や、既に教授として研究室を運営している先生の方々から、励ましの言葉をかけてもらえたのは嬉しかったです。

 ジュネーブでの学会に参加した前後では、国際機関に勤務している方からお話を伺う機会もありました。理系の博士課程学生としてウイルス性タンパク質を分析することを純粋に楽しんでいた時期もあった私としては、コロナのパンデミックに対する対応などの問題で政治・経済的な課題に難しい判断と対処を求められる環境で勤務しておられる方々のお話は、とても新鮮でした。ある世界的な危機に対処するにはただ単純に技術的な課題を乗り越えるだけでなく、各地域の政治や経済の状態に即した柔軟な対応が求められることを学んだように思います。以上の経験を通じて、博士号取得後のキャリア形成についての示唆が得られたように感じております。今後も、貴財団の他の奨学生の方との交流などを通じて、自分の視野を広げ続けてゆけるように努力いたしたいと考えております。オックスフォードでは、博士論文の提出に向けてのラストスパート、頑張ってゆきたいと存じます。