奨学生 レポート

外国人奨学生の顔写真

エルガシェウ・シャフゾド
タジキスタン出身/2022年度奨学生
東京外国語大学 総合国際学研究科 博士前期課程

①来日してプラスになったことと感動したこと

 キーワード: 日本語能力、自立、文化、ごみ分別、インフラ、

 2019年9月末に来日し、3年間半が経った。来日前と比べて自分の生活が大きく変わったと思う。ついては、来日後プラスになったことや感動したこと、また、良かったと思ったことについて一つ一つ以下に述べていく。

 自分の母国でも日本語を四年間ぐらい学習したが、自分が満足いくレベルではなかった。なぜならタジキスタン国立言語大学の日本語学科に日本人の先生と日本語教科書が少なかったためである。また、タジキスタンには日本人も少ないため、日本語学習をしても日本人と会話するチャンスが非常に少ない。さらに、日本人の先生が少ないため、文法的なミスを修正してもらえる機会も少ないことで文法的な間違いをしてしまう可能性が高い。そのため来日後に私は日本語の会話能力のレベルの足りなさを実感した。それ故に、現在まで三年間半ぐらい一生懸命頑張って、日本人の友達とたくさんコミュニケーションをして、日本語でより会話できるようになった。現在も自分の日本語能力に満足はしてないが、来日前と比べて飛躍的に向上したと感じている。

 また、来日してから、一人暮らしが始まった。自立生活は私にとって初めてだったので、自分の将来を考えると非常に良い経験になったと思う。なぜなら母国で学部に所属していた時は、自分の生活費や学費などの全てを親に工面してもらっていた。何か困難があったときも親の助けで、解決していた。現在、自立生活の中、自分の生活費を自分で負担し、何か問題があれば、自分で解決し、精神的にも自立できるようになった。日本は優しい社会であるため、自立生活で困難に直面しても、比較的乗り越えやすいと思う。現在も困ったとき親の相談を受けるができる限り、自分で解決策を見つけてやっている。こうして、自分の未来を築くため、自立生活で立派な経験を得、人間関係を広げている。また、母国で日本人が少ないため、日本人や日本文化について完全に掌握できなかった。来日してから、日本人の性質や日本文化についての考え方がもっと変わってきた。例えば、店に買い物に行くとき店員さんの敬語、道を迷ったとき周りの人に聞くと優しく案内してくることなどが日本独特な文化である。こうした理由で私は帰国後も、日本人や日本について良い印象が残るに違いない。このように、日本留学は私にとってもっと適切な決断だったと思っている。

 そして、日本での生活で一番感動したのは、周囲の環境の清潔さである。母国ではペットボトルしか分別しなかったが、来日してから、ゴミを分別することになった。ゴミの分別は自然環境にやさしく浄化されことによって、人々の健康にも悪影響を与えない。私のアパートの近所に住む日本人の多くが、ゴミの分別を積極的に行っていたことへ私はとても感動した。さらに、日本はインフラ的にも最も発展している国である。私にとって一番良かったのは、日本の線路網とインターネット環境である。例えば、母国では電車がないため、来日まで電車に乗ったことはなかった。電車に乗るのが初めての経験だったので、非常に便利さを感じた。電車が時間通りに来ることと車内の清潔感も驚くべきことだった。また、運転手がいない電車も人生の中で初めて見た。このことには非常に驚かされた。また、タジキスタンではネット環境が日本より非常に遅い。私の出身地域ではネット環境が非常に悪いので、世界中で何が起こっているのか、余り意識しなかった。日本のネット環境が最も発展しているため、様々なニュースを見、自分に必要な情報を手に入れられるため、自分の考え方も変わってきたと思う。数年前に比べると現在母国のネット環境も比較的発展して来ているが、日本のレベルぐらいのネット環境が欲しい。


2023年1月 チャリティコンサート鑑賞会にて

2023年1月 チャリティコンサート鑑賞会にて


②奨学生期間中にできたこと・将来の計画

 修士前期課程2年から、坂口財団に奨学生として採用されたことは、自分の生活や研究にも非常に役に立った。大学院に入学して一年間奨学金もらえなかったため、毎週28時間バイトしないといけなかった。したがって、最初の一年間はバイトや大学の授業に追われて自分の研究に多くの時間を割くことができなかった。履修した授業も多かったため、私にとっては大変な一年だった。坂口財団に奨学生として採用後、自分の生活も完全に変化して来た。故に、自分の研究を中心に注目していくことになった。奨学生としてこの一年間は、バイトを大幅に削減し、経済的な困難をあまりに考えず熱心に研究を続けて来られた。奨学生の一年間はもちろん経済的困難を乗り越えることになったが。その他、奨学生向けのイベントなども私には良い経験だったことは疑いようもない。

 自分の将来計画は、まず自分の研究を完成することである。一年間研究を続けることになったので、これから熱心に研究の問題点を明確にしていく予定である。修士前期課程卒業後の計画が少し未定だが、また、研究の問題点を残るようであれば博士課程に進学したいと思う。将来の計画は今年の研究によると思う。修士前期課程や博士課程を卒業しても、自分の目標はタジキスタンの日本語教育のシステムを変えることである。上で述べたようにタジキスタン国立言語大学の日本語学科で日本語を教える先生方の数が少なくなっている。それと共に、日本語の学習者達も他の学科に移行し、途中で辞めたりすることもよくある。何故ならば、自分の日本語能力に不満足で、難しくて覚えられないと自分の成長を感じられないかであると思う。その理由で、以前と変わらず、日本語の学習を促進するために、少なくとも初級向けの教科書やタジク語と日本語の辞書の出版を目指している。何故なら学習中に学生達が文法的、語彙的に困難に直面しないことによって、日本語の勉強の意欲ももっと高まると思う。同時にタジキスタンで日本語学習者の数が増加し、日本へ留学して日本と自分の国の関係をもっと発展させるために、協力し合うようになると思う。ついては、自分自身も将来日本で就職してもどうしても自分が意図している本を作成し、母国と日本の接触をより発展させたいと思っている。それ故に母国の発展や日本との関係を向上するため、今後とも貢献していきたいと思っている。