奨学生 レポート

外国人奨学生の顔写真

ジヨフジャエフ・ジャムフル
ウズベキスタン出身/2022~2023年度奨学生
筑波大学 理工情報生命学術院 博士前期課程

①来日して、最も感動したことと不思議におもったこと

 日本に住み始めてから驚いたことや感動したしたことは沢山ある。本エッセイでは日本インフラと日本社会について不思議に思った私の考えを述べたいと思う。

 初めて外国の空港に着くと最初の印象は到着点の空港と町から受ける。私は初めて体験した街は大阪市の関西空港の近くだった。海が近く、非常に綺麗なところだった。道路が滑らかで、クラクションがなく、交通の運行がスムーズで運転手も歩行者が安心して移動できる交通整備が私の初回の印象だった。来日2日目の朝に窓から眺めてみれば海岸の方に形の面白い石があった。近くに行き、隣の人に尋ねてみたら「これはテトラポットと言って、大きい波を抑える物だ」と教えてもらった。海がないウズベキスタン出身の人に新しい発見だった。街を散歩していれば色んなところに自動販売機が配置しており、道路には自転車用の道路があり、公衆トイレも沢山あった。しかも、公衆トイレで無料で利用できるにも関わらず非常に綺麗で、清潔に保たれていることに驚いた。また、歩道に目に障害を持つ人のための点字ブロックがあり、電車は時間通りに走り、レストランのメニューは写真付きで、お店のサービスが最高だった。コンビニでも商品購入以外にも多様なサービスが提供されていることにも大変驚いたことがある。

 私が最初に日本に来たのは2016年の4月で、国際交流基金の2週間の日本語研修で来ていた。日本社会と本格的に関わり始めたのは2017年の10月に筑波大学に留学したときからだ。大学(学部)時代の4年間で日本人と一緒に授業を受けてきて面白いと思った点がいくつかある。一つ目はノートのとり方だ。ウズベキスタンではコンスペクトと言って、教科書の重要なところだけノートに書き写すことを示す言葉がある。しかし、ウズベキスタンではコンスペクトをする人は少ない。しかし、日本の多くの大学生はノートではなく紙を使用し、図のように授業の重要な内容を抽出して書く。そして、テスト期間前に、配布資料ではなく自分がとったノートを使って勉強する。人によってこの勉強法が合わないこともあるが、私自身は自分の言葉に変えてノートする時に覚えやすいので、この勉強法を日本人の同期に習った。二つ目は水分補給だ。大学生はみんな机の上に必ずお茶か水を置いている。ウズベキスタンでは水筒とかお水を授業中に飲む人をあまり見たことがないが、日本の気候が違うからみんなそうしているだろうと思った。

 日本社会を全体で言うと他の国と違う点が多くありますが、ここからは私が最も好きで、尊敬する点とよくわからない点を述べる。

 まず、私が日本で最も好きな点は日本人の誠実さと他人への敬意だ。私は宗教上の理由で食べられるものが限られている。レストランで注文する時に材料を確認することがよくある。店員に確認する時にいつもどういった材料と一緒に扱うのか、食べられないものと同じところで作っていないか、細かいところまで、丁寧に説明してくれるので、とてもありがたい。

 私が日本で最も好きな二つ目のことは日本人の他人の考え方や価値観に対する尊意だ。先日アルジェリアの友達が「指導教員に毎週の金曜日にお祈りに行かなければならないので、この時間に研究室にいないと伝えた。その時から先生がいつもお祈りの時間をリマインダしてくれる」と言うお話を私にしてくれた。私自身もこのような尊意を数多く受けてきた。そのアルジェリアの友達は30か国を回った人で、その中で日本は最も他人の価値観などを尊敬する国だと言った。

 私がよくわからないことはなぜ日本人はあまり挨拶をしないのと、英語力の低さの2つだ。主観かもしれないが、特に若者同士は挨拶していないように感じる。朝は「おはよう」と言うが、お昼になったら直接話しかけることが多い。電話する時も「こんにちは」ではなく「すみません」から会話を始める人が多いと思う。研究室では「お疲れ様です」や男同士では「おっす」と挨拶することはあるが、大人に向けて話しかける場合は挨拶する人が少ないように私が感じる。

 二つ目の英語力に関しては全く批判的な話をするつもりはないが、ただ先進国である日本ではなぜ英語が話せる人が少ないのかよくわからない。もちろん、英語は日本語の文法と違い発音も難しい。けれども、日本人でも英語が上手な人もいる。学校ではどう言う風に英語を学ぶかはわからないが、日本政府がもっと英語学習を促進すれば日本の発展にもつながるのではないかと私は考えている。


日本語を教えていた生徒と一緒に

日本語を教えていた生徒と一緒に


②奨学生期間中にできたこと・将来の計画

 この一年では卒業に必要な授業の単位を全て取得することができた。修士課程では授業は学部のときほど多くないので、少数の授業に集中してじっくり勉強することができた。今年履修したのはほとんど指導教員の授業で、農業経済学やデータの分析方法に関する内容が多かった。専門関連科目以外には英文論文の書き方と食料システム学とIntroduction to Sustainable Agriculture in Rural Areas と言う授業を履修した。全ての授業は面白かったが、最も役立つと思ったのは英文論文の書き方だった。論文を書く時に色々な決まり事がある、それに従わないと雑誌等が受け取らないことがある。その注意点などを教わることができてよかったと思う。また、Sustainable Agriculture in Rural Areasの授業でも色々な国の留学生がおり、お互いの国や国の農業について話す機会があり大変勉強になった。これで授業はひとまず安心で、これからは日本国内アクアポニックスの事業者に連携しながらアクアポニックスの研究にもっと力を注ぎたいと思う。

日本ウズベキスタン学長会談での通訳

日本ウズベキスタン学長会談での通訳


 学業の他にはJICAの国際協力講座や日本ウズベキスタン学長会談にも参加し、国際協力事業について学べたり、学長会談では通訳の面において経験を積むことができたと思う。しかし、私は長く日本におり、あまり母国語を使わないため母国語で上手に話せなくなってしまったことに気づいた。これを解消するためには毎日ウズベク語とロシア語で本を読み、週に一回ウズベキスタンの友達と読んだ本の内容をお互いに話し合うようにしている。

 春休みを有意義に過ごすために研究室で統計学の勉強会が開催された。統計学は経済学に限らず生物学、医学、情報学といった多くの学問で使われる重要な学問だ。私も研究調査・データ分析する時に統計学が必要になってくるのでこの春休み中にしっかりおさえておきたいと思う。

 また、3人の留学生に0から日本語を教え、この8か月で一冊の教科書を終えることができた。今彼らが日本語で日常的な会話ができるようになり、教師としてとても嬉しい。