ON2024 感想

  「あのこと」という表現が示す体験が非常に多面的であることです。アフリカや日本など、異なる国を訪れることで得られる異文化体験は、他者との違いを学ぶだけでなく、自己を見つめ直す機会でもあります。また、アフリカで銃を向けられたことや意識不明になったことに対して非常に驚きました。あえて自分が慣れてきた環境と全く異なる国に行って生活し、文化や価値観に触れることで、自分の当たり前が相対化され、内面的な成長が促されることは留学生の私でもわかっているのですが、そこまでの体験が得られると、心が強い大人になるに間違いないと考えられます。

 また、海への恐怖を克服するような体験や、「引き算と足し算」の話も、自分との対話や葛藤を経て乗り越えるものであり、その過程はまさに自己発見の旅の一部です。恐怖に直面し、乗り越えた時には新たな自分に出会うことができる。この自己成長の過程もまた、人生を冒険の旅とする大きな要素だと思います。

 「あのこと」は、自らくる場合もあれば、逆に自分から積極的に探しにいくこともあります。大人になればなるほど、自分から新しいことに挑戦することが、子どもの頃より少なくなったのではないかと思います。なぜなら、学業や仕事、また家事や育児などのことで生活が詰めていることがほとんどであり、放棄所得という「コスト」も考えなければならないようになったからです。しかし、刺激を味わないと人生は止まってしまいます。人生は冒険の旅であり、時には困難や挑戦に直面しますが、その一つ一つが自分を形作り、成長させてくれるものだと感じます。

 この財団に集まってきた皆さんは、自分なりの冒険をし、自分なりに成長していることに感動しています。いつかより多くのことについて話し合えると嬉しく思います。 (陳 露文)

  先日はON2024を開催いただきありがとうございます。皆様国際的な経験も多かったですが、人との出会いや言葉が今の道につながるのではないかと感じました。

 特に「引き算」「足し算」の時間、という考え方が印象的でした。目標を決めてそこから時間を割り振っていくことも大切ですが、一見寄り道に見えることが実は人生を切り開く鍵になる、ということはconnecting the dots というSteve Jobs のspeach にも言われていました。また、紙一重で急死に一生を得た経験は本当にその後の人生の見方も変えるものだと思います。私も日々の平和というものの意味をかみしめ考えながら今後とも自分のできることで貢献していきたいと思います。 (波多野 綾子)

  先日、皆さんの発表を聞いて、非常に共感する部分が多くありました。 まず、幼い頃にカナダへ留学した経験を通して、母国以外の世界に対する認識が広がり、独立した生活能力を養うことができました。この経験が、後の日本留学への基盤となりました。また、私は高校三年生で大学を、大学四年生で大学院を志願した際に、早稲田大学やオーストラリア国立大学、英国エディンバラ大学など、名門校をあえて選ばなかった経験があります。学校のランキングや名声が、必ずしも学生にとって最良の選択肢ではないと感じました。自分に合った学校でこそ、全方位的に成長できると信じています。最後に、恐怖を克服した経験についても、私は中学時代、東京の山手線や京浜東北線以上に混雑した地下鉄に乗って通学する必要がありました。背が低かったため、電車に押しつぶされるような感覚に陥り、大都市や電車に対する恐怖心が生まれました。これは、私が大学時代に地方都市を選んだ理由の一つでもあります。しかし、東京に引っ越してからは電車を避け、自転車や徒歩で移動していましたが、友人の助けを借りながら少しずつ電車に乗ることに挑戦しました。最初は一駅から始め、次第に10分、30分と乗る時間を延ばし、ついには東京の複雑な交通機関にも慣れていきました。この過程を経て、行動範囲が広がり、恐怖心も自然に消えていきました。

 このように、皆さんの体験と私自身の経験を通じて、さまざまな挑戦を乗り越えることで、私たちは成長し続けていると感じます。これからもお互いに刺激を受けながら、共に前進していければと思います。 (胡 佳融)

  今回は、特別に貴社・貴財団事務局から参加させていただいたことで、毎回、机の配置から接続や音響の確認まで綿密に準備されている舞台裏を拝見させていただきました。私たちが安心して発表・交流できるようにこのように周到にご準備なさっていることに感銘を受けました。事務局の皆様、毎度のことながら企画、運営、進行をありがとうございました。

 今回は、奨学生の皆様の多様な人生の転機、出会い、原体験、価値観・考え方などから人生の軸を少し深く知ることができました。人生を変えるような出会いや経験のきっかけとなったのは、多くの場合意図的で、勇気を出したアクションがあったのだと思うと、私たちの日々のちょっとした勇気を出すアクションが人生を形成していることがあるので、日々の選択やそれに繋がる思考が大事だと思いました。ある参加者によるご自身や友人の尊厳が傷つけられた経験から人の尊厳を守る仕事に繋がったという原体験もそのような経験から何を学びどう生かすか、貴重な例を学ばせていただきました。

 自分の人生における原体験や転機の振り返りも、多くの人々に支えられ、有難くもそのような経験ができたから今の私がいるのだと、周りの人への感謝の気持ちを抱かずにはおれませんでした。恥ずかしい気持ちもありますが、伝えられる時に、支えてくれた人々にお礼を伝えることも忘れずにしようと思います。 (藤田 綾)

   今回皆様のご経験を聞いて、人生の多様な側面に対する理解が深まりました。楽しいことも苦しいことも、全ての経験がその人を形成し、成長させる重要な要素であると感じました。どのような状況であれ、その経験が人生に与える影響は計り知れず、私たちはその中から学び、共感し、支え合っていくことが大切です。全体として、経験の多様性が人生をより豊かにし、深い意味を持つことを実感しました。 (劉 俊薇)

  貴財団と奨学生の皆様もやはり色々なインスピレーションを受け、チャレンジを乗り越えられながら現在のお取り組みに到達されたのだと改めて認識しました。

 蜂谷さんと御祖父母、御両親の社会貢献の御活動や御社員の皆様に対するお気持ちのお話をはじめ、皆様との御面会励みとなりました。

 藤田さんの御結婚のお写真や松宮さんの御家族の御様子も拝見させていただき、ほっこりとした気分になりました。 どうもありがとうございます。

 オックスフォードでの三年目も御支援と学びの機会に感謝しながら精進させていただきたく存じます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

(髙橋 誠司郎)

  今回の発表のテーマを決める時に、私を表す単一のものを見つけることが難しかったです。今どんな人間で、何をしているのかは、これまでの全ての経験が重要な役割を果たしていると思います。

 私の感想は、私たちがそれぞれ非常に異なる人生の旅を歩んできたにもかかわらず、同じ状況でその経験を共有できていることが素晴らしいと思います。ON2024イベントで考えたのは、すべての経験を通じてたくましさを培うことが大事だと思います。

 皆さんの生活経験を発表してくれて、ありがとうございます! (アリアドネ・ジュールダン・ファイオン)

  皆さんの経験は世界の色々な場所で、様々でしたが、私にとって全てに当てはまる言葉が苦労と挑戦です。やはり皆さん苦労を乗り越えて、自分に挑戦をしながらこそ、今の自分、そして坂口財団奨学生ファミリーに辿り着いたのではないでしょうか?

 今回も刺激になる課題を設定していただき感謝しております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 (松宮 陽輔)

  まず、皆さんが経験された「ある事」は、さまざまな意味で価値あるきっかけとなっており、アルバイトはもちろん、海外でのボランティア活動や恐怖を克服するための努力など、さまざまな挑戦をされていたことが印象的でした。特に、親善大使として活動したり、要人に会ったり、新聞に掲載されたりするという貴重な機会を得ていることは本当に素晴らしいと思います。私自身はこれまでそういった経験をしたことがなく、その重要性を改めて感じました。

 大学生活を送りながら、忙しい中でも意義深い課外活動に積極的に取り組み、スケジュール管理をしっかりと行っている学生の皆さんをとても尊敬しています。私も大学生活が終わりに近づいていますが、アルバイトや部活動など、学生時代にできることはたくさんあります。しかし、母国と日本をつなぐ架け橋となる役割など、まだ実現できていないことがあるため、社会人になってからも引き続き挑戦していきたいと考えています。 (ヴ ドゥク マイン)

  今回のテーマ「”あの事”があるから今の私がある」は自分にとって非常に難しいと思っていた。なぜかというと、今までの人生を振り返って、「これだ」と思わせるぐらいの事柄を一つピックアップするには選択肢があまりにも多すぎるからだ。でも、どのようなエピソードが選ばれるかを含めて、それぞれの個性が現れ出ると思う。この意味で、今回の交流会を通じて、一層皆のことを理解した気もある。

 恩師であれ、未知だった大地であれ、過去の恐怖であれ、「皆は結構豊かな人生を歩んできた」と感服している一方、人生は無数の偶然の出会いでできているとも実感した。そして坂口財団での出会いもきっと将来の私にとって、かけがえのない人生の糧になるだろう。 (陸 晨思)