
陳 露文(チン ロブン)
中国出身/2024~2025年度奨学生
日本女子大学 人間社会研究科 博士後期課程
MBTIと研究スタイルの関係性──ESFP型研究者である私の気づき
近年、MBTI性格分類が注目するようになった。私は、理論が苦手で、硬い理論よりも人と話してデータを得ることが好きである。しかし、周りの博士同士のなかでは、私と真逆で、抽象的な理論が非常に得意ではあるが生の声を拾うことが苦手な人もいる。最近は、もしかしたら研究者のスタイルとMBTIと関連があるのではないかと思い、整理していみたいと思いました。
MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)は、人間の性格を16種類に分類する理論である。MBTIは以下の4つの指標によって構成される。
第一に、外向型(Extraversion, E) と 内向型(Introversion, I) の指標である。これはエネルギーの方向が外部に向いているか、内面に向いているかを示す。
第二に、感覚型(Sensing, S) と 直観型(iNtuition, N)。情報の受け取り方に関する指標であり、具体的・実践的に捉える傾向か、抽象的・全体的に捉える傾向かを示す。
第三に、思考型(Thinking, T) と 感情型(Feeling, F)。意思決定の際に重視する基準が、論理や客観性か、それとも人間関係や共感性かを示す。
第四に、判断型(Judging, J) と 知覚型(Perceiving, P)。物事への取り組み方に関する傾向であり、計画的・組織的か、柔軟・即興的かを示す。
私はESFP型に分類される。こうした外向的で感覚型、感情を重視し、柔軟性を好むこの性格は、研究生活において光と影をはっきりと分ける。中国移民女性のジェンダー意識変化をテーマに研究を進める中で、この特性がもたらす恵みと試練を日々実感している。なぜなら、実際に移民女性たちと話をする時間は何よりも充実しているからである。
インタビューイーと話す時に、初対面にも関わらず、深い会話ができるのが大体の場合である。彼女らは日本での子育ての悩みや、さらに夫と離婚までしたいほどの葛藤を次々と打ち明けてくれる。ESFPとしての私は、こうした人との関わりからエネルギーをもらう。現場での会話から得られる生の声は、冷たいデータでは決して捉えきれない真実を伝えてくれる。
しかし、この「実践偏重」の傾向は時に大きな壁となる。指導教授から「理論的枠組みが弱い」と指摘されるたび、胸が苦しくなる。図書館で理論書を広げても、頭には入ってこない。他の研究者たちが難解な理論をすらすらと引用するのを聞くたび、自分には向いていないのではないかと悩んだ日々もあった。
ある日、私は気づいた。ESFPの私が無理に伝統的な「研究者像」に合わせようとする必要はないのだと。確かに、研究室にこもって理論を構築するのは苦手かもしれない。だがその代わり、私は現場に飛び込み、研究対象者と真摯に向き合い、生きたデータを収集する能力を持っている。
この気づきから、私は独自の研究スタイルを模索し始めた。まずはインタビューで具体的なデータを収集し、その後で関連理論を学ぶという循環的なアプローチである。移民女性たちから「日本の保育園でのカルチャーショック」についての語りを聞いた後、文化適応理論を学び直すことで、現場の声と理論が鮮やかにつながる瞬間を何度も経験した。
今では、自身の特性を研究の武器として使えるようになった。MBTIを通して自分を理解したことで、無理に「理想の研究者像」に合わせようとする必要はないと気づけた。むしろこの特性を最大限に活かすことで、誰にもまねのできない研究成果が得られるのではないかと考えるようになった。