
アリアドネ・ジュールダン・ファイオン
ブラジル出身/2024~2025年度奨学生
東京外国語大学 総合国際学研究科 博士前期課程
修士課程で見つけた勉強と生活のバランス
2024年に修士課程に入学したときは、希望と同時に不安を感じていました。正直、この選択が合っていたのか悩んでいました。2023年、学部の4年生の時、いろいろな選択肢を考えました。大学院に進むか、就職するか、ブラジルに戻るべきかと悩みましたが、最終的に日本に残り、本当に自分の興味があることを勉強し続けることに決めました。
最初は、研究が多いこと以外、大学院生活は大学生と変わらないと思っていました。しかし、現実には、生活リズムが予想以上に変わりました。授業の数は減りましたが、プレッシャーが大きくなりました。大学院生は、先行研究を探し、修論と授業の課題の締切に常に追われ、たった2年でどのように修論を完成させられるのかについて、常に頭を悩ませています。私は研究テーマを、当初の学部での研究テーマであった「日本の戦後文学」から、「日本とブラジルにおける環境倫理の比較研究」へと変更したため、全てがまた一から研究することになり、思っていた以上に知らないことが多いことに気がつきました。
私は一人で過ごす時間が多くなったことにも気がつきました。学部の時と違い、大学院では、先生は自分が何をすべきか教えてくれません。自分を信じて、全てのことをこなさなければなりません。時々、メールや文献の読み進めなどに、常に追われる感覚に陥りました。セミナーや学会に参加するために、メールを送り続けたりもしました。次回名古屋で行われるラテンアメリカ学会のポスター報告に応募して発表することが決まりました。指導教員と何回もの添削を重ね、発表の作成をするなかで、今の自分に何ができるのか、チャレンジをしました。
しかし、私たちは勉強以外の生活も大事にしなければなりません。例えば、部屋の掃除や友達と会う時間や、運動といった時間です。これらの時間は身体的、精神的な健康を維持するために最も重要です。このほかに、私にとって、とても良かったことはフィールドワークに足を運んだことです。昨年の夏には東京都町田市で、今年の2月から4月にかけてはブラジルでフィールドワークを行いました。自然に飛び込み、環境問題について人々にインタビューするうちに、なぜ私がこの道を選んだかを再認識しました。
フィールドワークの様子
この一年で、やっと自分のリズムを掴むことができるようになりました。何を切り捨て、何を優先すべきかわかるようになってきました。まだ生活のバランスに戸惑うこともありますし、たまにせわしなく過ごすこともありますが、自分の限界についても理解しはじめました。何よりも、自分にとって重要なことに取り組めることに感謝しています。より持続可能な世界を築くためだけでなく、人間として成長し続けるためにも、環境倫理の勉強を続けたいと思っています。