ジヨフジャエフ・ジャムフル
ウズベキスタン出身/2022~2023年度奨学生
筑波大学 理工情報生命学術院 博士前期課程
ラマダン
皆さんは「ラマダン」という言ことばを耳にしたことがあるのでしょうか?きっと何処かで名前くらいは聞いたことがあるでしょう。実はちょうど最近、3月22日から4月21日までラマダンの時期でした。ダマダンと言ったら多くの人は断食をイメージします。しかし、断食を一体どういうふうに、どのくらい、そしてなぜ断食をするのかをしっている人は多くはないであろう。今回のエッセイではラマダンと断食について解説して行きたいと思います。
ラマダンとは
イスラムの世界では月の満ち欠けに合わせた太陰暦が用いられており、この暦のことをヒジュラ暦と呼びます。ラマダンはこのヒジュラ暦の第9の月に当たり、ムスリム(イスラム教徒)が断食をします。ダマダンは1ヶ月間(29-30日)続き、断食するのはこの月の毎日、日の出から日の入りまでです。断食の期間中は飲食を絶つだけではなく、妻と交わることも禁じられます。 ヒジュラ暦(太陰暦)は西暦(太陽暦)に比べて11日間くらい短いため、ラマダンが訪れる時期は毎年多少ずれます。断食について
ラマダンでの断食はイスラム教の五行(信仰の告白、礼拝、喜捨、聖地巡礼と断食)の一つである。コーランの第2章183節に「信仰する者たちよ、あなた方以前の者たちにも義務づけられたように、あなた方にも斎戒(断食)が義務づけられた。それはあなた方が、敬虔になるようにである」と書かれています。そのためにムスリムが断食をし、自身の信仰心を清め、欲望を抑え意志を鍛え,普段の悪い癖を直すことに努めます。しかし、状況により断食が免除される場合もあります。例えば、その次の節によると「病気にかかっている者、または旅路にある者は免除され、代わりに後の日に、同じ日数を斎戒すれば良いです。また、それに耐え難い者の償いは、貧者への給養とされています。上記でも述べた通り、断食するのは日の出から日没までです。食べ物だけじゃなく水を飲むのも禁止です。朝と昼ごはんを食べないと日中の仕事が大変なため、日の出前にSuhur(スフール)と日没後にIft ar(イフタール)と呼ばれる食事をとります。食べる料理には決まりがなく国によって様々だが、断食を明けるときに最初にデーツを口にしてから他の料理を食べることが一般的です。
なぜご飯を食べずにいられるのか?
一般的にはみんな若い頃からラマダンの時期に少しずつ(例えば半日だけ)練習を重ねてくるので、大人になるまで慣れてきます。このような練習をすることでみんな体を慣らしていると思います。そして思春期以降は大人と同様に断食するようになります。ちなみに、日本人からみて意外かもしれませんが,ラマダンはお祭りのようなもので,多くの人はラマダンを楽しみにしています。ラマダンの最後の日はとても悲しいですが、翌日にEid al Fitr(イード・アル・フィトル)という祭りを祝うので、その年のラマダンとの別れの悲しさを忘れることができます。
実は断食はイスラム教に限らず他の宗教にも存在する行事です。断食の仕方は宗教によって異なると思いますが、断食をすることで精神的メリットだけじゃなく、健康的なメリットもたくさんありますので、皆さんもいずれ1日でも断食を体験してみるのはいかがでしょう?
3枚の写真は、モスクでのイフタール(断食明け)と
Eid al Fitr(ダマダン後の祭り)の時に撮ったもの
Q. 病人や虚弱体質の方も断食を強いられるのですか?
A. 「宗教に強制はない」(コーラン2:256)ので、強いられることはありません。 さらに言うと病人、健康上断食し難い人、高齢者、乳幼児、妊婦や授乳中の女性は免除されます。また、生理中の女性、旅行者も断食の免除の対処になりますが、基本的に免除された日数分をラマダン後に繰り越して断食します。
Q. 例えば、戦争中の兵士もラマダンの最中は断食をするのですか?
A. 戦争中の断食に対しては私も何も知りませんでしたので、調べてみました。結論から言うと戦争にいる人も断食しなくても大丈夫だそうです。 コーランの次に、第二聖典とされるハディース(預言者の言行録)でその答えを見つけました。この件に関して幾つかのハディースがありましたが、Sahil al-Tirmizi(717)によると預言者ムハマド(彼に平安あれ)の教友のウマルによればBadrの戦いとメッカの征服のときに預言者ムハマド(彼に平安あれ)は断食を破るように命じました。この出来事の2つともラマダン月だったそうです。