2021年6月20日 歌舞伎鑑賞教室(国立劇場 大劇場)
東京都では新型コロナ感染症緊急事態宣言が蔓延防止等重点措置へと切り替わろうという6月20日の日曜日、2年ぶりに開催された「歌舞伎鑑賞教室」(独立行政法人 日本芸術文化振興会主催)に行ってまいりました。
念のために任意参加としたものの、やはり今年度初めての対面行事でもあり、5名の外国人奨学生全員が集いました。感染症対策で一席おきの客席でしたが、観劇を待ち構えていたかのように会場は7割方埋まっていたでしょうか。
皆が初めての歌舞伎鑑賞であったこともあり、始まる前は緊張感が漂いましたが、若手歌舞伎俳優・中村種之助さんの解説「歌舞伎のみかた」はとても分かりやすく、はつらつとした声が響きわたり、奨学生も目を輝かせて聴き入る様子が伺えました。
演目は『人情噺文七元結』という、元は幕末から明治時代に活躍した落語家三遊亭円朝作の今も高座で人気の大ネタですが、歌舞伎でも平易な世話狂言として親しまれてきたそうです。果たしてこうした人情噺が若い世代の外国人奨学生に伝わるでしょうか?
奨学生の感想
演目『人情噺文七元結』について】
長兵衛は腕の良い左官ですが、大酒飲みで賭け事が大好きなので家計はいつも厳しく、女房のお兼との夫婦げんかが絶えません。そんなある日、17歳の娘のお久が帰ってこないと大騒ぎ。やがてお久が家計を助けるためにと、長兵衛の仕事先でもある吉原の大店に身を寄せていることが分かり、その女将お駒はお久の健気さに心を打たれ、真っ当に働くようにと長兵衛に50両(現在の500万円ほど)もの大金を手渡す。金包みを懐に抱えた長兵衛がその帰途、文七という小間物屋の手代が川に身を投げようとしているのを見かけ、そのわけを聞いてみると、得意先へ集金に行った帰り道、受け取った代金50両を盗まれてしまい、死んで主人にお詫びをしたいということでした。人情に厚く気風が良い典型的な「江戸っ子」の長兵衛はそれを聞いて、迷った末に、娘の身代わりともいえる50両を文七に押し付け、家に帰ったものの・・・最後には思いもよらぬ結末となる、一人の悪人も出ない心温まる人情劇でした。
(参考文献:独立行政法人日本芸術文化振興会 第99回歌舞伎鑑賞教室 人情噺文七元結 パンフレット)