活動報告

2019年11月10日 
東洋文庫ミュージアム見学会

2019年11月10日 東洋文庫ミュージアム見学会 | 集合
 2019年11月10日 東洋文庫ミュージアム見学会 | 開設

穏やかな日本晴れに恵まれた錦秋の朝、駒込駅から歩いて10分程のところにある東洋文庫ミュージアムの見学会を行いました。東洋文庫には1990年、当時東洋文庫理事長であり、1988年から2003年まで財団の理事をお務めいただいた北村甫先生に奨学生をお招きいただいて以来の見学となりました。

東洋文庫の成立ちから展示内容まで、主幹研究員の方にわかりやすく丁寧なご説明をいただきました。今回は企画展「東洋文庫の北斎展」が行われていました。90歳余の長寿であった北斎と同時代に世界各国で出版された書物・史料をみると、フランス革命やアヘン戦争など激動の世界情勢であったことがわかりました。生涯にわたり一途に絵を描くことだけに集中した北斎の、他所では見られない珍しい作品の数々にも触れることができました。例えば、当時の中国を伝聞の情報だけで鳥瞰図絵に描いた「唐土名所之絵」。中国出身の奨学生は実際の地形と比べるように熱心に鑑賞していました。世界的にも有名な「冨嶽三十六景」だけではなく、庶民が娯楽として楽しむための漫画本のようなものや、海外でも“フリー素材”として作品モチーフが活用された事例なども紹介されていました。

圧巻のモリソン文庫(常設)には、東アジアに関する約2万4千点もの出版物が高い天井まで並べられ、壮麗な佇まいとなっていました。貴重な書物の美しい装丁や、江戸末期に日本人御一行がヨーロッパを訪れた際に挿絵入りで書かれた新聞記事などは、奨学生のみなさんにとっても大変興味深いものだったようです。

 奨学生の感想

奨学生の感想を、一部抜粋してご紹介いたします!

 トラン バオ クィンさん
上智大学大学院 グローバルスタディーズ研究科グローバル社会専攻/ベトナム出身

世界の歴史の流れへの思いは人それぞれだと思いますが、この見学会を通じて、どの時代や文化においても本、絵画、音楽といった芸術的なものは人間に欠かせない存在だと考えています。これらの文化遺産がなくならないように、岩崎久彌氏のような1人1人の積極的な取り組みが大事だと思いました。私が行っている日本の実習生制度に関する研究は、芸術的な分野と異なりますが、東洋学の社会現象の一部と重なっています。在日ベトナム人の実習生とのインタビューに積極的に取り組むなかで、日本の実習生制度に限らず、台湾や韓国等他国の外国人向けの労働制度に関する知識も深めてきたいです。実習生制度の労働制度はどのようなものなのか、自分の研究結果で少しでも国内外の人々の意識を広げられたらと思います。

 丁 珊さん
麗澤大学大学院  言語教育研究科日本語教育学専攻/中国出身

驚いたのは、100万冊以上の蔵書において中国語の書物が最も多いことでした。日本最大のアジア研究の図書館に中国の歴史が眠っているように思います。「日本と中国は一衣帯水の隣国」という言葉がありますが、それは距離だけではなく、昔からお互いに文化が影響されてきたことにも因ります。同じ漢字文化の両国は昔から、本や文字を通して様々な交流を行ってきました。過去に世界各国でどのような出来事があったのか、本を通して見ることができることが本の魅力のひとつだと感じました。

インターネットや電話がある、私たちにとって当たり前の日常生活は昔の人達にとっては考えられないことだと思います。しかし、本を通して歴史を知り、現在の生活の大切さに気付くと、昔の人と会話した気持ちになりました。

 東洋文庫

三菱第三代当主 岩崎久彌氏が1924年に設立し、今年95周年を迎えます。東洋学分野での日本最古・最大の研究図書館で、世界5大東洋学研究図書館の一つに数えられています。その蔵書数は国宝5点、重要文化財7点を含め約100万点に上ります。なかでも設立のきっかけとなった2万4千冊に及ぶ極東関係文献「モリソンコレクション(モリソン文庫)」は、久彌氏が現在の価値に換算して70億円もの巨費を投じG.E.モリソン氏から購入したもので、ミュージアムで最も有名なコレクションです。

引用・参考文献

東洋文庫ホームページ

http://www.toyo-bunko.or.jp/about/enkaku.html