
髙橋 誠司郎
2022~2025年度奨学生
オックスフォード大学 博士課程 社会科学部
3年間をふりかえり
2022年9月にオックスフォードに引っ越してから早くも3年が経ちました。 今年10月に始まる新学期からは人類学博士課程の四年生となります。
オックスフォードに移ってから様々な出逢いに恵まれました。 一年生の時にSt Antony’s Collegeの漕艇部に入部し、初めてローイングに挑戦し、室内練習と水上練習や、オックスフォードのアイシス川でのTorpidsとSummer VIIIsのレース、ロンドンのテムズ川でのHead of the River Raceなどを経験しました。コーチやチームメイトのお蔭様で、大学のボート・クラブの選手育成プログラムにも参加することができました。子供の頃に始めた聖歌隊にも、オックスフォードに来てから改めて取り組むことができました。チャペル・クワイヤや地域の合唱団に加わり、Worcester Collegeのコーラル・スカラーとしては、週4回のリハーサルと礼拝にも参加することができました。
人類学の研究に関しては、学部、修士、博士課程で勉強した科目を日本、沖縄、そして多種族民族誌という自分にとって新たなトピックに応用する機会をいただきました。
念願の沖縄生活も、博士課程2年目に行ったフィールド調査期間を通して経験することができました。三年間、クラスメイトと友人、家族、フィールド調査先の方々、恩師、貴財団の皆様に支えられながら、充実した研究生活を送らせていただきました。
今年の夏休みはスコットランドのハイランド地方とオークニー諸島、ケントの修道院やケンブリッジなどを訪れました。ハイランドでは大きな山と滝と湖、オークニーでは海辺の牧草地で放牧する牛の光景や遺跡、ケントの修道院ではのどかな庭園や礼拝堂、ケンブリッジではカム川の流れるCambridge Backs(カレッジの裏)を見ることができました。
英国や日本で日々を過ごす一方、地元の米国、南カリフォルニアで起きている事も感じます。
夏の間に約2年ぶりに帰国しましたが、身近の話題はICE (US Immigration and Customs Enforcement) (米国移民税関捜査局)の活動についてでした。地元の方のお話によると、ICEの局員が近所を巡回する光景は頻繁に見られるようです。
8月に帰英し、今はオックスフォードに戻り、Confirmation of Statusに向けて論文作成に励んでおります。夏も終わりを迎え、最近は涼しくなり、秋の風を感じます。カレッジ内はまだ静かですが、来月には新入生の到着でまた賑わうことでしょう。
論文の内容に関しては、主に沖縄の動物愛護活動のことや、動物病院で通訳者として勤めた中で学んだことについて執筆しております。博士課程四年目もお互いに助け合える仲間がそばにいて幸いです。今年卒業してオックスフォードを離れる方とは学生同志として過ごす最後の学年となるかもしれません。共に残された時間を存分に満喫したく存じます。卒業後の進路は定かではありませんが、学者として職に就ければ嬉しいです。
坂口国際育英奨学財団のご支援を通して引き続き研究生活に取り組むことができ、誠にありがたく存じます。出逢いと惠に感謝し、これからも精進してまいります。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
オークニーにて 放牧されている牛たち
